世界の香水のベスト3のひとつに入る「GUERLAIN」(ゲラン)の香水「ミツコ」。ゲランの創始者の孫で3代目社長のジャック・ゲランが調香し、1919年に発表した作品である。「ミツコ」なんて、まるで日本人の女性の名前みたいだが、日本女性と何か関係があるのだろうか。そう不思議に思っていたら、やはり「ミツコ」のネーミングのもとは、日本の女性名らしい。ただし、実在の女性ではなく、映画にもなったクロード・ファレルの小説『ラ・バタイユ(戦場)』のヒロインの名前なのである。『ラ・バタイユ』は、日露戦争の日本海海戦を舞台に、日本の提督の若い妻ミツコと、イギリス海軍武官のかなわぬ恋を描いた名作で、当時のフランスでベストセラーになり、映画にもなった作品。ジャック・ゲランは、その映画を見て、しとやかでもの静かななかに情熱を秘めたヒロインの姿に感銘を受け、神秘的でエキゾチックで女らしい香りの香水の名前につけたのだといわれている。「ミツコ」は、個性的で重厚で格調高く、知的なおとなのムードを感じさせる香水として、発表後80年たったいまも、根強い人気がある。明治時代の日本女性のイメージから調香されただけに、和服の正装にもよく似合う香りだ。これを調香したジャック・ゲランは、また、「ミツコ」に負けず劣らず名高い名品「夜間飛行」も生みだしている。創業者のピエールーフランソワ・パスカル・ゲランは元来、化学者であったが、彼もふくめてゲラン家は、すぐれた調香師の家系でもある。ほかの多くのブランドとちがい、自社の製品はすべて、自社で調香するというのが170年来の伝統になっているのである。
ロンドン滞在中、郊外で行なわれたガーデンパーティスタイルの結婚式に出席したときのことです。その場に振り袖を着た中年の日本人女性も出席していました。彼女は白塗りメイクに真っ赤な口紅をつけ、頭に大きなリボンをつけた上、着物をかなり着崩し、花魁風に帯をだらりと前に垂らしていました。その装いは、その場に居合わせた多くの外国人も苦笑するほど、滑稽としかいいようのないものでした。その昔、フレンチ・ヴォーグ誌などで着崩した着物姿の写真などを掲載していましたが、あれはプロの高度なテクニックで計算しつくされたものですし、あくまでもファッション誌の中でのこと。結婚式で着る着物とはまったく別次元です。着物を着るなら、格調高くエレガントに、が基本です。また、パリの街を得意気に着物姿で歩いている中年女性のグループを見かけたこともありますが、やはりあの街に着物は不向きです。それでもあえて着物を着るなら、正統的なディナーパーティやプチ晩餐会のような席で、エレガントに装うことです。また個人的にお招ばれしたパーティで、日本に特に興味がある外国人が大勢いる場合には、着物姿は大変喜ばれます。そんなふうにTPOと着こなしに気をつけて、着物を楽しむべきでしょう。
シャツの襟元からTシャツを覗かせる人がいるが、タブーである。理由は3つある。ひとつはジャケットスタイルの際のTシャツは下着に過ぎないこと。下着はどんな理由があるにせよ隠す。Tシャツを覗かせる人は、外着と混同しているためだ。Tシャツを覗かせているのはアメリカ人だけで、イタリア人や英国人はまずやらない。ジェームズ・ディーンのようなブルゾンの下のTシャツは、双方外着感覚なので、それはそれでよい。ふたつめは、白い色が2色になるためだ。シャツの白色とTシャツの白色は異なる。ふたつの白の重なりは煩わしい。最後は、他人に与える印象である。ブレザーの下にセーターが見え、その下にシャツが見え、その下に下着が見える。なぜそこまで他人の目に晒す必要があるのかという問題だ。重ね着を簡潔に見せるためには、シャツまでと心得る。シャツの首まわりに少しだけ見える下着は下品である。